【宝石のカットについて】
宝石を評価するうえで、唯一人間の手が必要とされるカットのクオリティ。
ここでは、宝石のカットについて解説していこうかと思います。
宝石の原石には、それぞれ特徴があります。
まず結晶の状態から形状が違います。
ダイヤモンドの理想的な結晶形は三角形の錐面が上下に4面ずつの正八面体であったり、 ルビーの理想的な結晶は六角柱だったりします。
また、石によって特徴や性質、カットの方向が違います。
ルビーまたはエメラルドのような色石や、アステリズム効果のスター・サファイア。
またシャトヤンシー効果のキャッツアイのような特殊な光学効果をもつ宝石は、
原石からの石どりの方向が重要で、最も望ましい色調または光学効果を示す方向を研磨した石の正面にしなければなりません。
これをオリエンテーション(石取りの方向)といいます。
カットのオリエンテーションは極めて重要で、もし失敗して他の方向に石取りしてしまえば、
せっかくに良質の原石も最上の色を示さず、その価値を著しく失ってしまいます。
オリエンテーションとは、それほど重要な工程なのです。
ダイヤモンド
スターサファイア
スタールビールビー
サファイアエメラルド
トルマリンキャッツアイ
まず、原石からオリエンテーションによりシェイプが決まります。
シェイプとは、宝石の輪郭のことで図の様にシルエットで考えると分かりやすいですね。
宝石の形や輪郭、時にはカッティング方法で価値が決まります。
宝石によって、ある特定の形は需要がより高いためその形の宝石は販売しやすくなります。
例えばダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すのはラウンド・ブリリアントカットとなり 市場でも一番流通してますね。
宝石の一般的なシェイプ ラウンド
ダイヤカットなどオーバル
ペア
ハート
マーキース
三角形
トリリアントカットなど
角切り長方形
エメラルドカットなど
角切り正方形
ステップカットなど
正方形
プリンセスカットなど
長方形
バケットカットなど
次いで重要になってくるのは、その宝石の美点特徴を最大限に引き出すファセットカットを施すこと。
カットの各面の名称は下の図に示した通り、ガードルより上のクラウン部と下のパビリオン部に大きく分かれます。
ダイヤモンドやジルコンは、キラキラのした煌めきを最大限に引き出し
ルビーやエメラルドなどは色溜まりの部分を多く残すことによって、綺麗な発色を作り出します。
淡い色味の宝石は、透明感を生かしてファセットを多くとってカット面の煌めきを楽しむことも出来ます。
石の特徴を生かしたカットを施す事がとても重要となってきます。
それらの特徴を生かしたテーブル側とパビリオン側のカットの組み合わせにより、 その石の美しさを最大限に引き出すことができるのです。
次に宝石の特徴をつかみ、一番美しく見えるファセットカットを施していきます。
ファセット面が多いほど輝きが増すと思っている人もいるかもしれませんが、 宝石のカットにおいてその輝きに関係する重大な要素は、カット面の数の多少ではなく、 主にファセット面の角度が正しくとられているかが重要になってきます。
それぞれの石の屈折率により、パビリオン部で完全に内部全反射が生じるように考慮された ファセット面の一定の角度(パビリオン角度という)が定められなければならなりません。
そしてその角度との組み合わせにおいて、最適の上部のファセット面の角度(クラウン角度)が決定されのです。
これらの角度はテーブルおよびクラウン部にあらゆる方向から入射した光が、パビリオン内部で最もよく全反射し、 光を上部に返すように複雑な計算の上で決定されているのです。
つまりは、それぞれのシェイプにおいてファセットの配置の種類はほぼ無制限にあるということなのです。
主なクラウン部ファセット ラウンドカット
シングルカット
極少ダイヤに施されるローズカット
スパイラルカット
ポルトガルカット
オーバルカット
ミックスカット
クッションカット
ラディアントカット
オクタゴンカット
バリオンカットプリンセスカット
主なパビリオン部ファセット ブリリアントカット
ダイヤカットシングルカット
スパイラルカット
ポルトガルカット
ミックスカット
クッションカット
ラディアントカット
バリオンカット
プリンセスカット 1